<法人破産その1>

状況

 自動車整備業の事業を営んでいましたが、一人で事業を続けることが難しくなり、顧問税理士を通して会社を畳みたいということで相談がありました。

 

対応

 整備の業務を徐々に整理し、できる限り顧客に迷惑をかけないようにした上で、会社と代表者の破産を行うことにしました。

 自動車整備の機械類が残っていましたが、賃借していた作業場を早期に明け渡すため、査定を複数とった上で事前に機械類を売却し、破産申立て後にその売却金額の適切さを明確に説明できるように準備しました。

代表者は、自身の知人の伝手で同業に再就職し、収入も途絶えることなく再出発が可能となりました。

 

ポイント

 破産手続きの中では、申立の前に処分した資産の内容などが調査されます。勝手に処分を行った場合などは、問題になることもあります。事業継続に不安を感じているならば、できる限り早めに専門家に相談し、自分の判断で行動することを回避すべきでしょう。


<法人破産その2>

状況

 X社は、小売業を永年営んで来ましたが、代表である高齢の父が病気で入院生活を余儀なくされました。娘夫婦が代表に代わり何とか経営を続けて来ましたが、売上減少に歯止めを掛けることは出来ず、資金繰りに悩んでいました。M&Aで買収して貰うことも模索しましたが不調に終わりました。

 

対応

 当事務所に娘夫婦が相談に来られました。心配していた事は、金融機関の借入金や仕入債務の処理、従業員の処遇、父母や自分達のこれから生活等、多岐にわたっていました。ひとつ、ひとつ丁寧に問題を整理していき、結論としては「法人の破産申立て」に決まりました。代表の父も覚悟を決めてくれました。時間は掛かりましたが、破産も成立しました。

 破産手続の中で、店舗の不動産も売却することができ、債権者への弁済も一部ながら行うことができました。また、管財人弁護士の協力を得て、従業員の未払賃金立替払制度を活用することができました。

 娘夫婦は、別会社で務めることが出来き、生活基盤を失うことがありませんでした。父母の生活できる見通しも立ち、落ち着いた生活を続けることができるようになりました。

 

ポイント

「破産」というと悪いイメージばかり先行し、二の足を踏むかもしれませんが、内容をよく理解すれば、再スタートを切るための大事な手段だということがわかります。法律に基づいた手続ですから、必要に応じて早期に着手することが、安定した生活の維持につながります。


<法人破産その3>

状況

 都内で飲食店を経営していたA社は、1店舗目の好調を受けて、2店舗目を近隣に出店したものの、思うように売り上げが伸びずに悩んでいました。そういった状況のところでコロナ禍が発生し、調子悪かった2店舗目を居抜きで譲渡せざるを得ないこととなりました。その後は、1店舗目の売上で2店舗目出店の際の借り入れなどを全て返済してきましたが、それも限界を迎え、返済に息詰まることとなりました。

 

対応

 2店舗目については従業員から店舗を引き継ぎたいという希望があったため、金額を算出の上で事業譲渡を行いました。その上で、A社及び代表者の破産を裁判所に申立てしました。

 裁判所に対しては、事業譲渡の相手方の選択や金額が適切であることなどを説明し、閉鎖にあたっての処理が問題なかった点を丁寧に説明しました。結果、スムーズに終結し、代表者の破産手続きも円滑に終了しました。

 

ポイント

 事業を閉めていく途中には、顧客を引き継いだり、店舗を引き継いだりすることが多くあります。そういった際には、相手の選び方や譲渡金額などについて検討する必要が生じます。なるべく早い段階で相談をしておくことが、その後の破産手続きをスムーズに進めることにつながっていきます。


<個人破産その1>

状況

 50代の男性でしたが、病気などで仕事が続かず、休職中の生活費を賄うために消費者ローンやクレジットカードのキャッシングを利用し始めたところ、金利が高く、返しても返しても借金自体が減っていかないという状況に陥っていました。

 いつの間にか毎月の返済が10万円を超え、収入のかなりの部分を返済に回すことになってしまったために、弁護士へ相談することを決めました。

 

対応

 借金の金額が既に400万円近くになっており、毎月の収入の半分近くを返済に回さなければならないような状況になっていたことから、破産の方針としました。

 過去にギャンブル歴などがなく、生活費の不足を借金で賄っている状況であったことや、大きな財産もなかったことから、破産管財人が選任されない「同時廃止」という手続きを選択し、最終的には裁判官の免責決定を経て再出発を図ることができました。

 

ポイント

 個人の方の破産は、ギャンブルなどのいわゆる「免責不許可事由」があるかということや、大きな財産があるかといったことによって、裁判所へ申し立てる際のポイントが変わってきます。スムーズに手続きを進めていくためにも、適切に状況を整理し、速やかに申立てを準備することが大切です。


<任意整理>

状況

 地場の中小企業にお勤めの方でしたが、社内でもしっかりと仕事をされておられました。しかしある日、投資を誘うSNS広告にふと興味を持ち連絡をしたところ、いつの間にか投資を始めることとなってしまい、さらに、その投資の追加資金を消費者金融から借り入れるように誘導され、数百万の借金を背負うことになってしまいました。

 

対応

 借金額は決して小さくなかったものの、収入が相応にあったこと、持ち家もあったことから、破産をすることを回避し、任意整理(分割払い)で対応する方針となりました。数社に対し、毎月弁済原資を分配するスケジュールを立て、個別に和解をしていきました。

 

ポイント

 ある程度安定した収入がある場合には、任意整理といって消費者金融などに対する借金を分割払いや一括払いをするよう直接交渉を行うことも選択肢になり得ます。目安となる返済期間はありますが、生活状況や経済環境などによって交渉しうる期間は変わってきます。無理のない金額で、借金を返済するための期間を考えていくことが大切になります。

 なお、任意整理の場合には、裁判所を通しませんので、一部の債権者だけを対象にするなど、ある程度自由に交渉ができるという特徴があります。


<連帯保証の解除>

状況

 事実上の従業員でありながら、法人の連帯保証人となっていたXさんですが、会社の事業が止まっても、いつまでも保証人として金融機関から連絡が来ることに不安を覚えていました。そのような中で、法人を破産することになり、保証債務も併せて処理をできないかという話になりました。

 

対応

 Xさんについて、法人は破産した上で、金融機関と交渉の上、一部の弁済という条件で連帯保証を解除してもらい、破産を回避しました。弁済にあたっては、破産した法人内で事実上従業員であったことなどを説明し、保有資産も開示した上、自宅を残すことができるように交渉しました。

 

ポイント

 保証人の責任は重たいものですから、金融機関も容易に解除することはできません。それでも、諸事情や生活状況、破産した場合との比較といったことを通じて、金融機関としっかりと話をすることで破産以外の解決が得られる場合もあります。安易に放置せず、相談することも大切です。