当事務所での解決事例を紹介します


<法人破産>

状況

 自動車整備業の事業を営んでいましたが、一人で事業を続けることが難しくなり、顧問税理士を通して会社を畳みたいということで相談がありました。

 

対応

 整備の業務を徐々に整理し、できる限り顧客に迷惑をかけないようにした上で、会社と代表者の破産を行うことにしました。

 自動車整備の機械類が残っていましたが、賃借していた作業場を早期に明け渡すため、査定を複数とった上で事前に機械類を売却し、破産申立て後にその売却金額の適切さを明確に説明できるように準備しました。

代表者は、自身の知人の伝手で同業に再就職し、収入も途絶えることなく再出発が可能となりました。

 

ポイント

 破産手続きの中では、申立の前に処分した資産の内容などが調査されます。勝手に処分を行った場合などは、問題になることもあります。事業継続に不安を感じているならば、できる限り早めに専門家に相談し、自分の判断で行動することを回避すべきでしょう。


<法人破産>

状況

 X社は、小売業を永年営んで来ましたが、代表である高齢の父が病気で入院生活を余儀なくされました。娘夫婦が代表に代わり何とか経営を続けて来ましたが、売上減少に歯止めを掛けることは出来ず、資金繰りに悩んでいました。M&Aで買収して貰うことも模索しましたが不調に終わりました。

 

対応

 当事務所に娘夫婦が相談に来られました。心配していた事は、金融機関の借入金や仕入債務の処理、従業員の処遇、父母や自分達のこれから生活等、多岐にわたっていました。ひとつ、ひとつ丁寧に問題を整理していき、結論としては「法人の破産申立て」に決まりました。代表の父も覚悟を決めてくれました。時間は掛かりましたが、破産も成立しました。

 破産手続の中で、店舗の不動産も売却することができ、債権者への弁済も一部ながら行うことができました。また、管財人弁護士の協力を得て、従業員の未払賃金立替払制度を活用することができました。

 娘夫婦は、別会社で務めることが出来き、生活基盤を失うことがありませんでした。父母の生活できる見通しも立ち、落ち着いた生活を続けることができるようになりました。

 

ポイント

「破産」というと悪いイメージばかり先行し、二の足を踏むかもしれませんが、内容をよく理解すれば、再スタートを切るための大事な手段だということがわかります。法律に基づいた手続ですから、必要に応じて早期に着手することが、安定した生活の維持につながります。

 


<相続>

状況

 仲の良かった姉妹でしたが、母が亡くなり、遺言書が発見され、亡くなった母の住む自宅不動産を姉が相続することとされたことで関係が変わりました。妹は株式などを相続するという遺言の内容でしたが、都内にあった不動産価値が非常に高く、妹は遺留分である4分の1すらも割ってしまうような取り分でした。

 

対応

 姉との関係を壊したくないと思い遠慮していたものの、不公平な状況に納得できず、事務所にご相談に来られました。当事務所において協力してもらっている不動産業者の査定をとってもやはり遺留分への侵害が明白だったことから、依頼を受け、姉側に遺留分侵害額の請求をしました。

 結局、姉側にも弁護士がつき、弁護士間で交渉を重ねた結果、妹側も納得がいく金額のお支払いを受けられることとなりました。根拠のある数字だったこともあり、姉の方でも納得感があったためか、支払いの後はまた姉妹で食事をしたりするような関係になりました。

 

ポイント

 遺留分の請求期間の制限1年のように、請求できる期間が決まっているものもあります。ですから、相談は「とりあえず」でも早めにするようにしましょう。弁護士に依頼した方が、冷静に交渉を進められるという利点があります。近しい関係での争いだからこそ、第三者に依頼することを考えてみてはいかがでしょうか。


<連帯保証の解除>

状況

 事実上の従業員でありながら、法人の連帯保証人となっていたXさんですが、会社の事業が止まっても、いつまでも保証人として金融機関から連絡が来ることに不安を覚えていました。そのような中で、法人を破産することになり、保証債務も併せて処理をできないかという話になりました。

 

対応

 Xさんについて、法人は破産した上で、金融機関と交渉の上、一部の弁済という条件で連帯保証を解除してもらい、破産を回避しました。弁済にあたっては、破産した法人内で事実上従業員であったことなどを説明し、保有資産も開示した上、自宅を残すことができるように交渉しました。

 

ポイント

 保証人の責任は重たいものですから、金融機関も容易に解除することはできません。それでも、諸事情や生活状況、破産した場合との比較といったことを通じて、金融機関としっかりと話をすることで破産以外の解決が得られる場合もあります。安易に放置せず、相談することも大切です。

 


<相続>

状況

 子のいなかった女性が80代で亡くなりました。親兄弟も既に亡くなっており、相続人は兄弟の子ども達でした。相続人らは、おばさんが亡くなったことを知り、不動産を含む家の整理に着手せざるを得なくなりました。

 

対応

 家を片付けたいという相談を受けた不動産業者の紹介で、相談に来られました。ご兄弟のお子さんたちは皆さん関係は良好で、分割の方法などについては話し合いですぐにまとまりました。その上で、預貯金や負債のの有無の調査を実施した上で、遺産分割協議書の作成をサポートしました。さらに、不動産の売却や相続登記、相続税の申告について専門家をご紹介するなどして支援しました。

 最終的に、不動産の売却金や預金、株式の解約を事務所で代理して行った上、相続人の皆さんへ分配することができました。

 

ポイント

 相続は、揉めていなくとも大変なことがあります。一般的には、戸籍の収集から始まる相続人調査、相続財産の調査や負債の確認、最後の換価手続なども手間がかかることになります。こういった部分も、銀行の事務手続を理解した専門家に依頼をすればスムーズに進むことになります。当事務所であれば、司法書士や税理士などとの連携を生かし、相談、遺産分割協議の成立から分配まで、一貫して対応することができます。

 


<債権回収>

状況

 補助金申請のサポートをしていた会社が、サポートを実施して実際に補助金の採択を受け、入金もあったのにも関わらず、採択された側が翻意したことで、多額の売掛金が未収となっていました。相手方は、「払う考えはある」とは言うものの、何度も支払いの約束を反故にし続けていました。

 

対応

 相手方に内容証明を送付の上、仮に支払いがなければ法的措置をせざるを得ない旨を伝えて、支払いを行うように説得しました。

 それに対し、金額の問題で一括での支払いが難しいとの回答があったことから、短期の分割のみ認めることとし、示談しました。

 

ポイント

 債権回収は、書面での通知、交渉、そして、話し合いが成り立たなければ調停や訴訟も当然行うとの考えで進めます。他方で、相手がいることですから、現実的な回収期間や金額を考慮することも必要です。今回は、分割を提案したことで、相手が現実的に支払い可能となり、交渉に応じやすくなりました。

 


<労働>

状況

 1年以上も前に退職した従業員から、残業代の請求や解雇無効を請求され、労働審判を申し立てられました。当該従業員は、会社側では素行不良と考えており、退職時も話し合いの上で退職手続きをとっていましたが、従業員の希望を受けて「会社都合での退職」としていたため、その意味合いが問題になりました。

 

対応

 退職に関して、退職前後の本人とのメッセージのやりとり、就業期間中の本人の問題点やそれに対する会社の対応を資料をもって説明し、一方的な解雇などではないことを説明しました。また、残業代についても、移動時間における本人の拘束性などを丁寧に説明しました。

 結果的に、紛争の長期化を回避するために、請求金額の1割程度の解決金の支払いで決着を図ることとなりました。

 

ポイント

 労働紛争は、近年増えてきています。他方で、就業期間中や退職時の対応の甘さが原因で、紛争が大きくなることもあります。丁寧な証拠収集とヒアリングを前提に一貫した対応をとりつつ、早期解決のためにどの程度の負担があり得るかは、経営判断の問題にもなります。会社の総務部門の強弱が反映されやすい分野とも言えます。

 


<離婚>

状況

 Xさんが仕事を終えて自宅へ帰宅すると、こつ然と妻と子供2人が居なくなっていました。前日に夫婦喧嘩があったにせよ、あまりに突然のことで気が動転してしまいました。すぐに弁護士へ依頼して、子の引き渡しの手続きを家庭裁判所へ起こしました。

 

対応

 裁判所での手続きと並行して、子供たちとの面会を重ね、妻の感情なども理解できるようになりました。妻側もXさんの気持ちを理解し、もう一度やり直してみようという気持ちになりました。

Xさんは、結果的には申立てを取下げ、生活環境を変えて家族で再出発することにしました。

 

ポイント

 離婚に関しても弁護士へ相談しましょう。第三者が間に入って、話を聞くことでご自身が「冷静」になれることもあります。

 離婚することも重要ですが、離婚だけが解決策という訳ではありません。


<建物明け渡し>

状況

 金融機関の紹介で購入した物件でしたが、従前の居住者が退去しないままとなっていて、家賃なども払われない状況が続いていました。

 

対応

 連絡文書にも反応がないままだったため、訴訟を提起して明け渡し請求を行いました。

居住者は裁判所に出てきましたが、手持ち現金がなかったことから、依頼者と相談の上で退去を最優先し、退去した場合には未払賃料の相当額を免除する内容で和解し、早期の明渡しを実現しました。

 

ポイント

 賃料相当損害金の獲得は現実的に難しいという判断に加え、賃貸人と賃借人が昔からの知人であったという事情から、退去を優先しました。

 結果として、別な入居者を入れることが可能となり、損害を縮小することにつながりました。また、地域性や人間関係などを考慮して、権利をどの程度行使するかも検討しました。

多面的に事案を検討することが重要になることもあります。